万象具徳・報徳思想 ─二宮尊徳─

「全てのものには徳がある。徳とは個性であり、それぞれの取り柄や持ち味。荒れ地には荒れ地なりの個性がある。」

二宮尊徳は多くの人々を豊かにしていく過程で、万象具徳であると気付きます。
個性を活かすも殺すも、周囲であり環境です。素晴らしいことに、人間はそれぞれの個性を活かす智慧が備わっています。なにより我々日本人は神道のもと、多様性を重んじてきました。

それぞれの個性(徳)を活かすことで、長年の平和を実現できたとも言えます。
二宮尊徳は、個性を活かすとは、個性に報いることだと考えました。
これが報徳思想です。

個性に報いるという姿勢には、個性に対する感謝の念が含まれています。
我々人間には、全ての個性に感謝できる智慧もあるのです。
人間として生まれ、人間として生きていくために、全ての個性に報いることができるよう努める。

報徳思想に基づいた人間の道であり、我々の祖先が学び歩んできた道です。
我々は人間の道を歩むことも出来れば、獣の道を歩むこともできます。
我々が学び歩んでいく道を、次世代の子どもたちが歩みます。

下記は報徳博物館初代館長、佐々井先生の詩です。
将来を担う、すべての子どもたちに。

どんなものにも  よさがある
どんなひとにも  よさがある
よさがそれぞれ  みなちがう
よさがいっぱい  かくれてる
どこかとりえが  あるものだ
もののとりえを  ひきだそう
ひとのとりえを  そだてよう
じぶんのとりえを ささげよう
とりえとりえが  むすばれて
このよはたのしい ふえせかい

 ※ふえせかい(増え世界)とは尊徳の考えた世界観で、様々な価値が生まれ増えて、世界が広がること。

人間は、有限のもの(自然、土地など)の個性を引き出すことにより、無限にものを生み出すことができます。すなわち、奪って豊かになるのでなく、新たな価値を生み出して豊かになっていく。これこそが人間の徳だと尊徳は考えました。

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