前回、金との交換が約束されていた兌換紙幣の時代は、金と紙幣とでは金の方が安全であったことをお伝えしました。

しかし、現在、紙幣は金との交換が約束されていない不換紙幣であり、また、金の価格は短期間で大きく変動することから、金と紙幣では、紙幣の方が安全と考える方が多いと思います。つまり、金との交換が約束されるから安全なのではなく、紙幣との交換が約束されるから安全だと感じる。

金と紙幣のどちらを安全と感じるのかが、真逆になっています。どこで逆転したのでしょうか?

貨幣の歴史を少し遡ってみます。

第二次世界大戦の開戦のきっかけとなったのは通貨安戦争からのブロック経済でした。
戦後はブレトン・ウッズ体制のもと、1トロイオンス(約31g)の金と35米ドルの交換を約束し、また1ドル=360円と固定相場にすることで、国家による勝手な通貨の乱発を防ぎました。12,600円=35ドル=1トロイオンスの金となり、国家の信用のもとで金と紙幣は対等な関係性を保っていました。

ところが、1971年に米国大統領ニクソンが、突然、米ドルと金との交換停止を発表したことで米ドルは暴落し、金1トロイオンスと交換するために必要だった米ドルは、ブレトン・ウッズ体制当時の35ドルから、1975年に約200ドル、1980年には約800ドルといったより多くの米ドルが求められるようになります(米ドルの下落=金価格の上昇)。

そして、通貨価値が下落したことで、強度のインフレーションが発生します。そこで、政府及び中央銀行は物価安定に向けた様々な施策をくりだし、インフレ封じ込めに成功、その過程で金1トロイオンスの価格は1985年には約300ドルにまで暴落します。

このように金価格が乱高下したことから、金の安全性が疑われるようになっていきました。次回、それでも金は安全資産と言われる理由を考察します。