満足と不満足

同じ食事を頂いているときに、満足する人もいれば、不満をかかえる人もいます。
同じ車や家や洋服を手に入れたときに、満足する人もいれば、不満をかかえる人もいます。
同じ会社や社会で生活していても、満足する人もいれば、不満をかかえる人もいます。

この感じ方の違いはどこから生じるのでしょうか?
同じ環境においての違いですから、それは環境ではなく、間違いなく本人に理由があります。

おそらく、高い知性や感性を持っている人のほうが、様々なことに気づきますので、不満を感じやすいのだと思います。
でも、その不満に押しつぶされてしまうと、戦争や飢餓の状態だったころからみたら奇跡的な現代社会で生きていても、傍からみれば素晴らしい環境がある大企業で働いていても、残念ながら自殺してしまう人がいます。

高い知性や感性で不満を感じ、却って自身を苦しめてしまっている場合は、老荘思想のひとつ『足るを知る』という考え方を学ぶことをお勧めします。

一般的には、満足すると幸せを感じ、不満だと不幸せを感じてしまうので、『満足を善、不満足を悪』としてしまいがちです。しかし、19世紀を代表する経済学者の一人であるジョン・スチュアート・ミルは不満足の善を説きます。

具体的には、『満足した豚であるより不満足な人間である方がよい。満足した愚か者であるより不満足なソクラテスである方がよい。』と述べています。
また、『豚や愚か者は、様々な問題を自分の立場からしか見ていないから満足しているだけだ。』とも。

不満=問題であり、問題解決=成長=幸せです。
不満を感じること=問題に気づけることに、大きな価値があります。
不満足なソクラテスのように高い知性や感性を持っている人は、ご自身の才能を最大限に活かすために、不満を価値に変える智慧を身につけていくことが大切だと感じます。

経済学を学ぶことは、人間としての生き方を学ぶことに繋がります。

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